きさ:
「夜に爪を切ったらアカン」っていうのは、昔は夜は部屋が暗かったやん。
だから、深爪して怪我するよって話やねん。
なゆ:
それが元ってことですか?
きさ:
そう。
「夜によく見えてない状態で爪を切ったら血だらけになるよ」っていう話が元やね。
なゆ:
「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」ってよく言いますけど、全然関係ないですね。
きさ:
全然違う。ほとんどの言い伝えがその類やで。
なゆ:
「血だらけになるよ」からどうしてそうなったのかすごく謎なんですけど(笑)
きさ:
想像を膨らませたんやろうね。
どう膨らませるのか知らんけど(笑)
なゆ:
「親の死に目に会えないって言っておけば、
怪我するような危ないことはみんなしなくなるだろう」みたいな感じ?
きさ:
違うね。
お葬式屋さんが脅かすために言ったのかな?
言い伝えの本質で分けていくと、脅かすために怖がらせるやり方と、
危険だから「危険やで」って言うのと、2つあるねん。
脅かすって何かというと、結局商売絡みやと思う。
「ものすごい儲かりまっせ!」っていうような脅かしはないやん。
そんなの聞いたことないよ。
だから、自分の役に立たない、要するに商売ネタにならないことは、大体人に伝えない。
そういう意味で言い伝えは嘘の方が多いね。
きさ:
「北枕はなんでアカンのか?」っていうのは、御釈迦様が北枕で寝てはったのやんか。
寝不足になってた御釈迦様が「北枕の方が楽や」って、北枕で寝たら、
「気持ちいい」って言って、死によったんよ。
だから「北枕がアカン」っていうのも葬儀屋の戯言やね。
なゆ:
自分の今の寝てる位置をよくよく考えたら、
北の方に頭を向けてるってさっき気付いて(笑)
「今まで何も考えたことなかった!」と思ったんですけど(笑)
きさ:
まぁ、頭を冷やしてた方が寝やすいのは寝やすいよな。
だから、北に置くのは理にかなってると思うな。
他に気になる言い伝えはある?
「雛人形をしまうのが遅れると婚期を逃す」とか?
なゆ:
あぁ、そんなのありますね(笑)
きさ:
「ほっとけよ!」と思うけど(笑)
なゆ:
ほんとですよね!「ほっとけ!」ですよ(笑)
きさ:
「猫が顔を洗うと雨が降る」これはホンマやね。
なゆ:
それは本当って聞いたことあります。
「親不孝をするとささくれができる」っていうのもありますね。
きさ:
指のささくれの話?
なゆ:
そうです。ささくれができちゃった時に「親不孝だ」って言ったりしますよね。
きさ:
初めて聞いた(笑)
なゆ:
ウソ〜!(笑)
きさ:
ホント(笑)
多分、言い伝えってそれくらいのモンなんやろ。
大事な言い伝えだと思ってる人たちと、
全く気にも留めてないし聞いたこともない人が、
並列に語られる世界なのと違うかな?(笑)
(終)