きさ:
昨日TVを見てたんやけど、その番組は、
とある移住を案内する会みたいなドキュメントだったんよ。
震災後にそういうのが流行ってるよっていう。
つる:
ああ、最近多いですよね。
震災後は特に。
きさ:
移住といえば、昔はリタイアした人達が多かったけど、
最近は30代の人達が多いみたい。
つる:
それは日本国内での動向ですよね。
きさ:
そう。
別に移住が悪いとは思わないけど、
消極的な移住っていうのは避難であって、積極的な移住とはまた違うと思う。
子どもを連れて移住するっていうのは、積極的な移住でない限り
文化を蔑ろにしてしまうっていう認識がないような気がするな。
「すごいなぁ、こんなに消極的な移住でいいのかなぁ・・・」って思ってたんやけど、
なんでかその番組に出てくる人の顔が暗かった。
つる:
暗い?
きさ:
その会の参加者全員が暗い顔してたから、
気になって調べてみたら、全員アンラッキーだった。
それでまた主催者もアンラッキーだった。
つる:
全員ですか?!
きさ:
うん。主催者の○○社も。
「うわぁ・・・」と思ってね。
子育てには、その背後にあるものが大事やんか。
つる:
それが文化ですか。
きさ:
うん。
つる:
子どもは周囲のあらゆることを吸収して育ちますもんね。
子どもが育つ、その背景がそのまま「私の文化」になりますよね。
きさ:
わけわからないようになってる子、いっぱいおるよ。
それこそ、どういう意思のもとに、どういう文化のもとで子どもを育てるのか、
よっぽど覚悟を決めてやっていかないと、どっちつかずになってしまう。
心の奥底にある自信とも関係があるかもね。
つる:
アイデンティティとか・・・
きさ:
綺麗なプールがあっても、厚生年金がちゃんとあっても、
そこに文化があるとは限らないやろ?
つる:
綺麗なプールっていうのは、綺麗なプールがある立派な家っていう意味ですか?
きさ:
うん。
つる:
お金があるから文化があるわけじゃない。
きさ:
そう。その背景にあるものがあるやんか。
それが文化だけど、この間の震災で・・・
日本はいつも震災の時にそれが出てくるけど(苦笑)
つる:
不思議と(苦笑)
きさ:
いろんな国から評価されてるわけ。
びっくりされるくらい。
そんな状況で雨降ってるのに順番待ってる人達とか。
それって、綺麗なプールがあったところで、厚生年金があったところで・・・
つる:
綺麗なプールや厚生年金があるからって、文化までちゃんとあるとは限らない。
きさ:
そう。ずーーーーっと何千年もそこにいて、
そこに住んでいると自然に染みこんでいるもので、
そのなんとなくなものが文化なのと違うかなぁ・・・と思うけどね。
そういうのがそれぞれの土地にあるけど、その恩恵を感じてない人達なんやろうなぁ。
つる:
それがあるのが当然だと思ってるんでしょうね。
それがない状態に自分がぶつかるまで気付かないでしょうね・・・
きさ:
痛い目見ないと分からないやろうね。
そういうのを見ると「ああ、アンラッキーやなぁ」って思う。
文化は考えようとしないと理解出来ないよ。
つる:
考えないと、その大事さが理解出来ない。
きさ:
それってものすごい損だと思う。
文化を大事に考えないと、やっぱり損やで。
つる:
それって、お金に換算できませんもんね。
きさ:
例え何億積み上げたって、どうにかなるもんじゃないよ。
つる:
この間見た3Dの映画の『世界最古の洞窟壁画』もそうですよね。
壱百弐拾倶楽部にUPされてたやつ。
32000年前の壁画がある、ショーヴェ洞窟。
あの洞窟のすぐ近くに原子力発電所があるんですよね。
その排熱でワニが大量繁殖してる話も映画の終盤でありましたが・・・
あのデリケートな洞窟がそういう環境の変化でもし失われたら、
いくらお金を積んだって、取り戻せるものじゃない。
きさ:
それと似たようなことが福島でも起きてるやん。
別に残さないとアカンとは思わないけど、考える機会を逃すのは残念やね。
壱百弐拾倶楽部のそのページでも言ったけど、
ツタンカーメンの展示会の残念さも一緒だと思うよ。
(終)