(「死の役割:1」の続き)
きさ:
20年くらい前かな?
「仕事で死んだみたいよ」っていうこと言ってしまったことがあってね。
それはなんで言ったかというと、慰めるために言ったつもりだった。
その人はね、子どもだったのよ。二十歳の女の子。
飛び降り自殺したのよ。
彼女のお父さんが僕のセミナーに来てた人でね。
なゆ:
それはつまり、お父さんが娘さんを亡くされたってことですか?
きさ:
うん。彼が僕のセミナーに来てた時は、子どもはまだ生きててね。
”上”的なことが知りたくて、セミナーに来てはったんやろうね。
で、いろいろ悩みを聞いてたら、「子どもに自殺願望がある」と。
「どうしたらいいのかな?」って言うので、相談に乗ってたんだけど、
僕が「こうしたら?」「ああしたら?」っていう手法が結局効かなくて、
彼女は飛び降りた。
飛び降りる前から僕は、
「なんか仕事くさいから、何しても効かない可能性はあるよ」って話をしてたのよ。
「死なないとアカンっていう願望がかなりきついから、たぶんこれ仕事だよ」って、
「そういうモノはなかなか変えられないから、どうしたもんかなぁ」って言って、
相談してたんだけどね。
お父さんは1年くらいセミナー受けてくれて、
その後結局電話もらって、死んだって聞いたのよ。
1年間くらい話してたから、お父さんはある程度覚悟みたいなのができてたけど、
奥さんが半狂乱になっててね。
「なんか言ってやってくれ」って言われたから、「何を言うねん?」って聞いたら、
「今までセミナーで話をいろいろ聞いてたから、その話を伝えてくれ」
っていうことだったんだけどね。
なゆ:
自分では奥さんに話してなかったんですね。
きさ:
話してたみたいやけど、奥さんが聞かなかったからでしょ。
で、僕は遠回しに「仕事だよ」みたいなことを言ったのよ。
「20年間の人生は無駄じゃなかったのよ」っていうことを伝えたかった。
ものすごく達成感を持って死んでるから。
はたから見たら、二十歳の子が死んだのだから悲しいだけの話だけど、
死んだ本人からしたら、達成感を持ってやり遂げた感があるわけ。
だから、よかったとは言いにくいけど、
「彼女が生まれてきた目的は十二分に達成したみたいだよ」って言ったのよ。
「すべてやり遂げて死にはったよ」って伝えたんだけど、
「そんなぁ!仕事で死ぬなんて、なんてことやねん!」って、奥さんは余計怒ったわけ。
「なんとなく仕事って話が伝わってくるんだけどね」とか、
誤魔化して詳しくは言わなかったけど、「言ったらアカンわ」と思った。
事実としても、むやみにはね。
女の子は、奥さんのために死にはった。
前世で奥さんが自殺した時に、家族がかなり悲しんだのよね。
身内、特に子どもが死ぬっていうことはこれだけ悲しいことなんだっていうのを、
自殺した時に奥さんはわからなかったんやろうな。
「それをわかるのが今生の役目や」って奥さんは生まれてきてたから、
わからせる役割で子どもが生まれてきた。ややこしいやろ?
奥さんは、いろんな死が周りに起こったことによって
死についてよく考えるんじゃなくて、子どもが死なないとアカンかった。
でも、それを言ってもやっぱり通じない。
お父さんのほうは、1年かけて自分で理解してたけど、
奥さんには説明できなかったんやろな。
なゆ:
大事な子どもの死を受け入れられない、仕事だなんて信じたくない
っていう気持ちで奥さんはいっぱいだったんでしょうね・・・
きさ:
今日の話は、言っていいことなのかわからないけど、そういう話があるよ、と。
でもそれをどうするかやね。
立派な話なんだけど。
なゆ:
うーん、微妙なところですよね。
きさ:
頑と聞き入れない人もいるからね。
聞き入れない人は仕方ないか。
なゆ:
逆にこういう話を聞いて、例えば身近な人が亡くなったりした時とかに、
この人の死は意味があったのだろうかとか、やたらいろいろ考える人もいるでしょうね。
きさ:
うん。虫みたいに死んでいくのが普通なんだけど。
なゆ:
大半の人は自然と、別に意味もなくっていう感じですもんね。
きさ:
そう思ったほうがいいと思うね。
特にナルシスト的に考える必要もないと思うけど、そういうことを考えたい人は多い。
そんな特別じゃないのにね。
なゆ:
多いですよね、そういう人。
きさ:
なぜか多い。
なゆ:
そういう考えのループに陥っていくっていうんですかね?
どんどんそういう考え方になっていくというか。
きさ:
そう思うなぁ。なんか、怖いのと違うかな?
誰の記憶にも残らないっていうのが、怖いのと違うのかなと思う。
なんで怖いのかなと思うけどね。
(終)